平成26年4月12日~13日

 

焼峰山~二王子岳(小環状)

 

 

 

季節はすっかり春めいてポカポカ陽気の日が続くようになりました。

 

しかし私の心の中はまだ真冬です。

 

それと言うのも私は月に一度糖尿病の通院をしており、日頃の不摂生がたたって検査結果はいつも良くありません。

 

結果が悪いといつも先生に怒られ、怒られるのが怖くて通院日が過ぎているのに行かずじまい。

 

そのままずるずると毎日が過ぎてしまい、やがて薬が切れ病状もどんどん悪化していくばかり、ようやく重い足で医者に行くと、きちんと通院しないものですからそれでまた怒られる、当然検査結果も悪くなりまたおこられるといった具合で、悪循環に陥っております。

 

そして今現在、すでに薬は切れていて、もうそろそろいい加減に医者へ行かなければならなくなっている時期にきているわけでして、とても気の重い毎日を過ごしております。

 

早く外の陽気のように私も重いコートを脱ぎ棄てて、季節の移ろいとともに身軽になりたものですなあ。

 

 

 

それにしても私の場合は怒られると怖くて悪循環に陥りやすく益々ダメになってしまいます、おそらく褒められて伸びるタイプなのでしょう。

 

 

 

塞ぎ込んでばかりもいられない、そこでちょっと気晴らしのつもりで新発田市民らしく焼峰山と二王子岳を環状縦走する、いわゆる小環状へと出かけてくることにしました。

 

焼峰山と二王子岳といえば新発田市を代表する山々です。

 

しかし私自身、実はこの二つの山はあまり好きではなく、今回もせっかく久しぶりに晴れそうな土日に焼峰山と二王子岳へ行くということを直前まで迷っておりました。

 

大好きな朝日連峰の一角に聳える石見堂山~赤見堂山、焼休山あるいは天狗角力取山を経て寒江山方面などを考えていましたが登り口のある大井沢までは遠く、ガソリンが値上がりしたので今回は近くの山へ行くことにしました。

 

 

 

焼峰山や二王子岳の登山口へ車はどこまで入れるのか、前日下見に行ったところ、焼峰山への登山口まで道路上に雪はありませんでしたが、倒木が道路を塞いでいたところが数か所あったので木を切って車が乗り入れるようにしておきました。

 

二王子岳に関しては登山口のある神社の一歩手前くらいまで車が入れるようになっていました。

 

 

 

4月12日

 

家を出る頃、山にはまだ黒い雲がかかっていて焼峰山山頂はまだ雲の中のようです。

 

雨は上がって、これから回復していくことと思われますが、陽が差さないと気持ちも沈みがちになり、足取りも重くなってしまいます。

 

焼峰山も二王子岳も仕事や人付き合いで登ることは良く有ります。

 

今回は焼峰山から登りましたが、良く考えてみると残雪期に焼峰山に登るのは初めてです。

 

何度か厳冬期にも焼峰山に登りましたが、残雪期は痩せ尾根が顕著に現れていて意外と歩きにくく、ただでさえ重い足取りで積雪期の時以上に苦労して山頂に辿り着きました。

 

焼峰山頂に着く頃にガスは上がり、時々日が差し始めるようになりました。

 

 

 

焼峰山頂からも歩きにくい痩せ尾根がしばらく続き、四ツ倉と言うピークの手前までそれは続きました。

 

焼峰山を過ぎた頃から周囲を飯豊連峰や二王子岳に囲まれているせいで下界が見えなくなり、それは延々と二王子岳付近まで続きます。

 

この区間はすっぽりと自然の中に入り込んだようで、ちょっと嬉しい気分になります。

 

さらに四ツ倉まで来ると尾根が広がって天国のようになり、この辺りはさすが飯豊前衛の山を思わせるところです。

 

この付近に倉の付くところが4ヶ所あり、焼峰山側から進んで行った場合、この四ツ倉に始まり小倉、大倉と続いて少しルートから外れたところに勘左衛門倉があります。

 

倉とは古語で岩のことを言いますが大倉、小倉という名前はまあ分かります、勘左衛門倉は人名から来ているのでしょうけれど、この四ツ倉は何なのでしょう?四ツ目の岩場と言う意味なのでしょうか?

 

それに今回通過した三ヶ所の倉は名前に反して岩場ではなく素晴らしい広々とした雪原のピークでありました。

 

その後も松ノ木峰周辺でやや尾根が狭まりますが、それでも楽々と西ノ峰に到着し、どこまでも広い山頂が赤津山まで続きました。

 

 

 

できることならここから反対方向に向かって勘左衛門倉に立ち寄り今日一日で四つの倉を登りたかったのですが、良く考えてみると西ノ峰からでは下って登頂することになり、やはり登って登頂したいと思ったのでやめました。

 

それにかなり疲れていて辟易していたし、時間的にも大変でした。

 

勘左衛門倉に関してはいつか内の倉あたりから登って登頂したいと思います。

 

 

 

西ノ峰に着いた頃には空の雲は無くなり、飯豊連峰が間近に見えます、特に大日岳と北俣岳は大きいです。

 

ようやく天気は晴れましたが、冷たい風が強く吹いていてまだ真冬のような気候です。

 

この日は赤津山の手前で風が凌げそうなところを選んでテントを張りました。

 

夜は風が止んだようで静かな夜になりました。

 

 

 

4月13日

 

今日は素晴らしい晴天となり、暖かい陽射しの中で天国のような気持ちの良い広い尾根はヤンゲン峰まで続きました。

 

ヤンゲン峰とは昔、医者が薬を調合するときに使った薬研に形が似ているところから付いたとされていますがヤンゲン峰は下界から見えないので、赤谷の猟師あたりがどこからかヤンゲン峰を見てそう名付けたのでしょうか?

 

それとも次のピークである桝取倉山はおそらく魚の鱒からきているものと思われるので、釣り師が鱒を釣りながら桝取倉山まで来て、そこからヤンゲン峰を見て名付けたのかもしれません。

 

 

 

広くなだらかなヤンゲン峰を過ぎると、いよいよ最後の核心部が始まります。

 

桝取倉山の手前あたりから痩せた尾根と地図では分かりにくい急峻なピークの登り下りがしばらく続き、藪と雪庇、クレバスに悩まされ、長い格闘の末ようやく雷峰へと到達しました。

 

ヤンゲン峰と雷峰間の悪場は前に歩いたゴールデンウィークの頃に比べると、今回は中途半端に雪がついていて非常に歩きにくかったです。

 

 

 

雷峰はよくある山名で、その多くは雷神を祀ったとされているようですが、この雷峰の場合は違うような気がします。

 

雷でも落ちた峰なのかは分かりませんが、この雷峰まで来ると悪い場所は終わって、ようやく一息つくことができました。

 

あとは二本木山までの長い斜面を登り終えると、最後はお馴染みの二王子岳からたくさんのトーレスに導かれて下山することができました。

 

 

 

一王子を過ぎてしばらく下ると雪は無くなり、久しぶりに踏んだ土の感触にホッとします。

 

安堵感からか、今までどんな急斜面の登り下りでもクレバスに落ちようが一度も転ばなかったのに、土のぬかるんだ道を歩き始めたとたんに何の変哲もないところですべって転んでしまいました。

 

 

 

翌日、意を決して糖尿病の診察に行きました。晴天の下であれほど歩いてきたのだから気分も晴々、きっと血糖値も下がっているだろうと目論んで思い切って行ってみたのですが、結果はいつもと同じでまったくダメでした。

 

 

 

コースタイム

 

4月12日

 

滝谷登山口 3時間30分 焼峰山 55分 四ツ倉 40分 小倉 40分大倉 20分 松ノ木峰 2時間05分 西ノ峰 50分 テン場

 

 

 

4月13日

 

テン場 15分 赤津山 1時間35分 ヤンゲン峰 1時間35分 桝取倉山 1時間05分 雷峰 2時間40分 二本木山 30分 二王子岳 2時間 二王子神社