朝日連峰偵察山行(古寺口より途中まで)

 

平成26年3月29日

 

 

 

皆さん登山靴の手入れはどのようにされているでしょうか?

 

本屋さんで山道具のメンテナンスブックなどをよく見かけますが、それら雑誌を参考に手入れされている方も多くおられるのではないかと思います。

 

私もそういったメンテナンス関連の本を読んでみて今まで気が付かなかったような良い手入れ方法が書かれていることがあり参考になるときもありますが、それとは逆に自分の経験上に基づいてですが、これは良くないとかおかしいなと思う手入れ方法が書かれている場合もたびたび目にします。 

 

靴の手入れに関して言えばほとんどお決まりの方法しかないようで、それぞれの書物の内容はどれもこれもほとんど同じようなことが書かれていて、私もほぼそれらと同様のやり方でメンテナンスをおこなっています。

 

ただ私の場合はどうしてなのか分かりませんが、とにかく靴の傷みが激しいようです、というか靴に限らず登山用品は傷みが早いと登山用品店の方から良く言われます。

 

確かにワカンなどは買って最初に履いた山行でいきなり歪んでしまい、そしてほぼワンシーズンで寿命がきます、しかもいつも冬期山行ではワカンを履いているわけではなく特に新雪のときなどはスノーシューを大いに使っているのですが、それにもかかわらずワカンはワンシーズン程度の命となってしまいます。

 

スノーシューほどではありませんがワカンも高価な物なので毎年購入はとても無理です、せめて部品を取り寄せて修理をして数年程度はもたせるようにしているようにはしておりますが・・・。

 

ワカンがそんな感じなので、履いている靴となると一度の山行のたびにかなり傷だらけになるようです。

 

私自身、靴はスリーシーズン用が10足ほど、冬期用を5足ほど持っており、ローテーションしながら使うようにしております。

 

特にスリーシーズン用は概ねですが早く歩き用とか重い荷物用とか登山道の無い山用とか軽い山行用とかに別けて使っております。

 

最近は簡単な山であればゴム長靴も良く使っております。

 

ゴム長靴はメンテナンスフリーで防水性も非常に高く、すこぶる使い勝手が良いものですね。

 

靴底が柔らかいのですがゆっくり歩けばそれほど足も痛くなりません、ただ少しばかり蒸れるので水虫になってしまうところが欠点です。

 

山を長靴で歩いている人をたびたび目にすることがありますが私と長靴の出会いは、以前に胎内の風倉山に登ろうと家を出て向かっている途中で登山靴を車に積み忘れたことに気が付きましたが取りに帰るのも面倒なので通りがかりのホームセンターで¥780円のゴム長靴を買って登ったのが、私がゴム長靴と初めて出会った美しくも淡い想い出であります。

 

 

 

そうそう、忘れ物と言えば、月山に登ろうと思って家を出て小一時間も車で走ったところパッキングして準備万端にしてあったザックを家に忘れたことに気が付き、これはさすがにホームセンターで調達するわけにはいかないので家まで戻り、予定よりも大幅に遅れて月山登山口に到着したことがありました。

 

しかし登山口に着いてそこで聞いた話では午前中は道路が大変に渋滞していて通行規制がかかっていたとのことでした。

 

私が到着した時は規制がすでに解かれていて車はすいすい登山口まで行き、駐車場も疎らで止め放題、登山道も人は少なく、しかも下山時は夕刻の残照が素晴らしく綺麗で、それもこれもザックを家に忘れたお蔭だった、なんてことがありました。

 

 

 

話を元に戻します。

 

使用した登山靴は下山してから念入りに汚れを落とし、靴の中敷きと靴ひもを外して内部を十分に乾燥させて外側には保革材や防水材などを塗布し、さらにゴム部にはゴム劣化防止剤を塗布して保管するようにしています。

 

登山道具はとても大事で、不備不調があった場合は直接それが事故や遭難にまでつながる場合がありますので手入れと点検はいつも十分に行うようにしております。

 

山は足で歩くものですから登山道具の中でも特に登山靴には気を使っております。

 

特に足の弱い私にとって靴の重要性は雨具や服装など他の身に着ける物などの比ではありません。

 

 

 

そういえば、また余談話になってしまいますが、数年前に厳冬期の光兎山へ登った時、あの光兎山特有のナイフエッジと急登を登り終え、山頂に達したときに突然履いていたプラスチックブーツの右側の底がアイゼンもろとも剥がれ落ち、左足も靴底が半分まで剥がれアイゼンと靴底が歩くたびパカパカして飛んで行くのではないかと思うような状態で、右足は完全に剥がれ落ちているのでつるつるとした靴底で怖い思いをしながら下山してきたなんてことがありました。

 

私はあれ以来プラスチックブーツを履かなくなりました。

 

 

 

さて今回の主題である朝日連峰ですが、本来は土日の休日を使って一泊で行く予定でしたが、日曜日が生憎の雨予報だったので日程を土曜日の日帰りとし、行けるところまで行くといった行程に切り替えました。

 

シーズンオフの朝日連峰は非常にアプローチが悪く、どこのルートから入山しても集落から登山口までかなりの林道歩きを強いられることになります。

 

今回は次回の正月の偵察山行第一弾として古寺鉱泉からの入山であり、ここは根子集落から登山口の古寺鉱泉までは10キロほどの車道歩きがあります。

 

この長い車道歩きは先日調達したスキーを利用することにしました。

 

しかしスキー歩行が苦手な私は古寺鉱泉から通常歩行に切り替えるので、そこまで登山靴を担いで行かなければなりません。

 

 

 

一般的に冬期登山靴は造りが堅牢で厚手の生地でできているものなのでスリーシーズンの物に比べるとどうしても重くなりがちです。

 

近年の登山靴はかなり軽量化してきておりますが、やはり軟な造りでは冬期登山のような厳しい山行で耐えることは難しいようです。

 

私の所有する冬用登山靴のひとつにザンバランのパイネという商品名の物があります、これは重量級の登山靴の中でも作りがしっかりしている割にいくらか軽い造りになっております。

 

このザンバランのパイネは先週の女川山塊の烏帽子岩と五頭連峰の山行でたて続けに使用しており、再び今回の山行でも使用しようと中敷きを外してしっかり乾燥させておりました。

 

ちなみにその中敷きは8千円くらいする高額な物であり、足を守る大事なアイテムであります。 

 

そしてそれら靴やスパッツ等をザックの中に入れて足元の準備をし、朝日連峰の古寺口へと向かいました。

 

毎度のことですが、この時期大井沢集落まで来るとあまりの雪の多さに驚きます、雪の壁が迫るように切り立ち、その合間を縫うように民家が点在していて、こんな景観が最奥の根子集落まで延々と続いております。

 

早朝は路面が凍結していて、そんな中スキーを履いて古寺鉱泉までの長い林道を歩き始めるも、凍った雪面でスキー歩行が思うようにはかどりません、かなり四苦八苦しながら進みました。

 

急な登りでは後ろに進んでしまい、いくら足を動かしても前に進みません。

 

かなりどたばたしていたのではないでしょうか、他の人に見られたら笑われていたでしょうね。

 

私としてはこのスキー歩行が大きな鬼門となっており、練習など必要ないと思っているのですが、あまりにも下手くそすぎてやはり来冬は少しくらいスキー場にでも出かけて練習しなければならないと思いながら古寺鉱泉を目指しました。

 

やがてへとへとに疲れながら3時間もかかりましたが何とか古寺鉱泉の駐車場に辿り着きました。

 

しかしあまりの疲労でこれから山に登れるのか自分でも疑問に思うほどでした。

 

ここから登山靴に履き替えますが、なんだか足が痛い。

 

相当、スキー歩行で足が疲労しているようです、特に足裏が痛く感じ、慣れないスキー歩行で足裏を痛めてしまったように思いました。

 

 

 

雪はそれほど締まってなく、脛から酷いところは膝上までのラッセルとなり思うように先に進みません。

 

できれば古寺山くらいまでは行きたいと思っていたのですが、これでは到底無理な話です。

 

今回は偵察登山なので山頂にはこだわるつもりはなかったので、とにかく行けるところまでという気持ちで進みました。

 

それにしても朝日連峰のこの尾根は広くてとても気持ちの良い尾根です、盛期に訪れてもまったく気が付きませんが、こんな尾根を歩きながら「スキーがもうちょっと上手だったらなー」なんてつくづく思いました。

 

 

 

しかしこれほどの晴天にもかかわらずまったく人の気配は感じません、盛期にはあれほどの人が訪れるというのにシーズンオフの朝日連峰はアプローチの悪さも手伝って入山する人がまったく居らず、山本来の姿を取り戻していて、原始性や自然の驚異、神秘性などは飯豊以上に感じます、いや本当にここは静かな素晴らしいところです。

 

もしこれが飯豊だったら入山している人は少なからずおられるでしょうにね。

 

 

 

厳冬の雰囲気を想像しながらこの日はハナヌキ分岐まで行き、古寺山の雪庇を遠くからじっくりと観察して引き返しました。

 

懸念していた古寺鉱泉に掛かる橋とハナヌキ分岐のトラバースについては通過してみましたが、テン場や荷上げ場所などこれからまだまだ調べなければならないことがたくさんあります。

 

 

 

帰りは坂を下ると足裏に衝撃が走り、結構痛みます。

 

「何かおかしいなー」なんて思いながら我慢して何とか古寺鉱泉まで戻り、やはり行きと同じ3時間を車道歩きに費やして根子集落へと戻りました。

 

 

 

車の近くでスキー板を外していると「どこに行ってきたんですか―?」と遠くから若い女性が話し掛けてきました。

 

地元の人と知り合いになって正月の山行期間に車を置かせてもらうよう頼まなければならないと思っていたところ、若い女性に話し掛けられ「これはちょうどいい、ちょっと相談してみよう」と考えました。

 

しかし若いと思われた女性は近づいてみると年配の方だったので今回は相談を見送りました。

 

 

 

地元の方たちにとって朝日連峰は大事な山であると思います、正月のような特殊な時期と言うこともあるのでよそ者である私が朝日連峰に入山させていただくには地元に方々に了承を得なければなりません。

 

そしてその上でできることなら地元の方々と知り合いになって正月に朝日連峰を登っていることを知っていただき、あわよくばその間、車をどこか近くに置かせていただければなんてことを考えました。

 

それにもし入山中に何かあった場合の時などを考えても地元の方々の了承は必要だと思っている次第です。

 

これらについて別に若い女性でなくてもいいのですが、できることなら私は若い女性がいいです。

 

 

 

家に帰り玄関を開けると靴の中敷きが置いてあります。

 

それは今回使用したザンバラン登山靴の中敷きでした、手入れした後で元に戻すのを忘れたまま今回の山行に使っていたようで、どうりで足が痛かったわけです。

 

とりわけ下山時には一歩一歩かなり足裏に衝撃がありました。

 

しかし確かに少し痛みや違和感があったものの、それほど辛くなかったということはあの高額な中敷きもそれほど必要ではないのかもしれないと思いました。

 

まあもっともゴム長靴の時の中敷きは100円の物を使用しているくらいですからね。

 

 

 

去年までは思う存分正月の飯豊北俣岳に挑戦してきました。

 

そしてようやく次の朝日連峰へと足を踏み入れ始めました。

 

大朝日岳への挑戦は今始まったばかりです。

 

飯豊以上に山深い大朝日岳への道のりは果てしないもので、目的を果たすには数年の期間が必要であると思います。

 

あせらずゆっくりと山を見据え、多くの課題と対峙しながら計画を立てていきたいと思い、今回の偵察山行を終えました。