初冬の飯豊の写真


初冬の朝日の写真


初冬の飯豊と朝日

 

平成25年11月9日

 

平成25年11月17日

 

 

 

はじめに

 

今回の山行記録は仕事が忙しく、簡単に書きました。

 

本来、私は淡々とした山行文を書くのが好きでなく、それに山行文は多くの方たちによってたくさんのものが書かれ出回っているのが現状であろうかと思います。

 

それはそれで多くの方々に参考にされ、目安にされていて、とても素晴らしいことだと思います。

 

しかし変わり者の私は、できればそれらの山行文とは別けたいと思い、結局山行以外の余計なことを書いたりしているというところも多々ありました。

 

しかし今回の山行文については、ゆっくり山行文を書いている暇がなく、しかしHPを更新したいと思いましたので、淡々とした山行記録文となりました。

 

 

 

山行記録

 

私は今まで新雪を踏みたいと思い初冬の飯豊へ行ったことが何度かあります。

 

しかし新雪の朝日連峰へ行ったことがありません。

 

初冬と言われる頃に朝日連峰には何度も訪れておりますが、いつもタイミングが悪くて、新雪が来る直前だったり、一度積もったものの解けてしまったあとだったり、あるいはあまりにも豪雪でとても辿り着くことが出来なかったりで、朝日連峰の新雪は未だ踏めないままでおります。

 

そもそも11月ともなると日本海側の雨は毎日のように続き、日に日に寒さが増してくる時期で、晴れる日は少なくなります。

 

そんな中で新雪を踏みに山へ行こうと思っても天気とのタイミングが非常に難しいものとなっております。

 

 

 

今年はどうか?例年に比べると山の雪は遅いようで麓から仰ぎ見る飯豊は11月に入ってからも稜線部分だけがほんの少し白いものが見える程度で、上部のごく僅かな部分だけ雪がある程度のようです。

 

それが朝日連峰となると、飯豊より標高がやや低い分、寒い日に一時的に積雪があるようですがすぐに解けて無くなってしまうということが繰り返されておりました。

 

 

 

飯豊の山行

 

11月9日、この日はこの時期としては珍しい素晴らしい晴天の予報だったので、簡単に行くことができない初冬の朝日に行けるチャンスと思ったら、狐穴小屋のしょーこちゃんから「まだ雪、無いみたいだよ」との連絡があり、狐小屋管理人のあだっつぁんからも「雪まったくねえべよ」と言われたので、それでは雪のある飯豊に行こうと思い、弥平四郎から飯豊本山へと向かうことになりました。

 

できれば本山を越えて御西あわよくば大日岳まで足を延ばせたらいいな、なんてことを考えながらの山行でした。

 

 

 

私、個人的に本山を目指すなら川入口が一番好きなのですが、今年は通行止めのままですし、大日杉やダイグラはパスして弥平四郎から登ることにしました。

 

弥平四郎は本山直登ルートでは家から近くて、車の運転が楽です。

 

大日杉登山口まで2時間もかかるのに弥平四郎までは1時間半ちょっとで着きます。

 

それに何より大日杉ルートと違って下山時の地蔵岳の登り返しが無いなどのところから弥平四郎も好きなルートです。

 

 

 

いつもこれらのルートから登るときは最初から本山登頂が目標ではありません、御西岳か大日岳が目標となっております。

 

今回も行けるところまで行こうと思い、登り始めからとばしました、ところがどうしてなのか妙に吐き気がします。

 

具合の悪さに時々足を止めて「帰ろうか」と考えてしまうほどです。

 

この時期はただでさえ日没が早く、早々に登らなければならないのに大苦戦です。

 

登山道は最初は雪がありませんでしたが、疣岩山あたりから時々雪が出てきて、種まき山でようやく少し白くなりました。

 

地面は凍結しているものの滑るほどではありません、11月なのにまだ10月半ばから後半くらいの様相です。

 

素晴らしく晴れ上がった陽気に後押しされ何とか本山まで辿り着きましたが、体調や時間的なことを考えると今日はここまでで帰らなければなりません。

 

それにいくら晴れているとはいえ風が冷たく、本山山頂付近は猛烈な寒さです。

 

具合が悪いばかりか耳や指先がとれるのではないかと思うほどの冷たさも手伝って早々に本山をあとにしました。

 

下山しているときでもやはり吐き気が治まらず何も食べられません、もともと私は山であまり食べないのですが、さすがに少々バテ気味で苦労しながら、それでも何とか日没前に下山することができました、どこか不完全燃焼のような気がした山行となってしまいました。

 

 

 

 

朝日連峰の山行

 

11月中旬に寒波が襲来し珍しい事に平地でも積雪を記録しました。

 

この寒波のお蔭で朝日連峰にも根雪が降り積もり、私は「朝日連峰に行くぞ!」と手ぐすねを引いて晴天になる日が来るのを待ち構えておりました。

 

今年の朝日連峰は大雨による被害が相次ぎ、登山口までまともに行くことができるのは泡滝ダムと古寺口しかありません。

 

泡滝ダムは先日の雪で繁岡集落までしか車が入れることはできないでしょうし、吊り橋の足場板撤去もとうに終わっていることでしょう。

 

古寺については古寺鉱泉が11月いっぱいまで営業をしているということと、古寺入口にあるサクラマスふ化場もしばらく営業しているので道路は除雪されているとのことでした。

 

しかし実際に行って見ると根子集落から先は確かに除雪されているのですが路面の凍結が酷く、さらにサクラマスふ化場から先は除雪が施されていない状況で、ただ轍のみが奥まで続いておりました。

 

ツルツルの(本来、私の前でツルとかハゲという言葉は禁句です)ノーマルタイヤで冷や冷やしながらやっとの思いで古寺の駐車場に辿り着きました、さすがに駐車場に他の車はありません、登山者は私だけのようです。

 

早朝の冷え込みは今日の晴天を約束しており、まだ薄暗い空に雲の淀みひとつ見えません。

 

逸る気持ちを抑えながら準備をしていると1台の車がやってきました、私はその車の脇を通り抜け、明るくなると同時に歩きはじめました。

 

積雪は歩き始めから10センチから15センチほどあり、進めば進むほど深さは増していきます。

 

しかし昨日のものと思われるトレースがあり、これに助けられました。

 

やがて日暮沢からの登山道と合流しますが相変わらずトレースは私を助けてくれます。

 

日暮沢からのコースには当然足跡が見られず、今年は土砂崩れが起きたこともあって日暮沢ルートはかなり寂しいものとなったようです。

 

私個人的には日暮沢から大朝日岳に登り竜門山を経て日暮沢に戻る周回コースが好きで、古寺鉱泉を歩くのは15年ぶりくらいです。

 

以前の古寺口は林道歩きが長く非常にアプローチの悪いところで入山者も少ないところでした。

 

奥にある古寺鉱泉は秘湯中の秘湯だったのですが、林道開通のお蔭でたったの徒歩5分で着くことができ、行きやすくなったもののあまり秘湯っぽくはなくなってしまったように思います。

 

 

 

さらにこの古寺鉱泉口は林道開通に伴って大朝日岳までの最短コースになり、そうなると入山者は圧倒的に増加してしまい、趣の無い登山コースになったように思います。

 

入山者が多く、それに最短コースだからといって安易に訪れるのが嫌だったことも手伝い古寺登山道は今まで無意識のうちに避けていたように思います。

 

今回、久しぶりにここを訪れて便利になった車道を走っていると、泡滝ダムを思い出しました。

 

泡滝ダムも以前は駐車場などまったく無く、泡滝ダムまで来ると林道がいきなりスパッと無くなり、車を反すことすらできないようなところでした。

 

 

 

道や山を整備することは登山者にとっては楽になるのですが、自然にとって果たしてどうなのでしょうか?

 

朝日連峰は自然が深く、飯豊よりも原始性が残っている山だったと思います。

 

それがいとも簡単に山に取り付けるとなると自然が減って趣なども無くなり、登山ブームもあって今や朝日連峰はつまらない普通の山に変貌してしまっているように思います。

 

私は朝日連峰を訪れるたび「こんな登山者に親切な政策はやめてほしい」と感じ、自然保護なんて名前ばかりで結局のところ人間の都合の良いように、登山者のために自然破壊をしているだけのように思えてしまいます。

 

私個人的には大好きな朝日連峰が登山者の手によって壊されていってしまっているような気がしてならないのです。

 

「山は不便なもの、その不便さがあるからこそ山に訪れた時に極上の幸せを感じる」ということを私に教えてくれたのは飯豊ではなく当時、圧倒的な深い原始的な姿であった朝日連峰でした。

 

 

 

しばらく進むとトレースは無くなり、膝までのラッセルに苦労しました。

 

それでも古寺山まで何とか辿り着き、ここからかんじきを履きました。

 

しかし小朝日岳登りのラッセルに四苦八苦、時間はまだ10時過ぎでしたが、このラッセルでは大朝日岳は無理と判断、小朝日岳から先は諦めざるを得ませんでした。

 

残念で仕方がないのですが小朝日岳からピカピカ光る(本来、私の前でハゲとかピカ、光という言葉は禁句です。)大朝日岳を仰ぎ見て、そして先日の飯豊と同様に不完全燃焼で下山しました。

 

車に着いたのはまだ昼過ぎ、空は青く11月としては滅多にない晴天なのに、こんなに早く下山してしまい、とてももったいない一日となりました。

 

 

 

初冬の朝日連峰は難しいです、盛期の頃には見られなくなった深い原始性がこの時期になると再び牙をむきはじめ、山頂に立つことはとても難しくなります。

 

 

 

これから厳冬期に入るとアプローチは非常に悪くなり、山頂までは遠く冬期には日本有数の雪深い山域となり強風や凍結、雪庇などの冬の厳しさは飯豊を凌ぐほどであろうかと思います。

 

 

 

今回は軽い気持ちで新雪を踏みたいと思って訪れましたが、季節外れの大雪に見舞われ、新雪を踏むどころではない山行となってしまいました。

 

 

 

コースタイム

 

飯豊

 

弥平四郎登山口6:35 疣岩山8:30 三国小屋9:00 切合小屋9:55~10:05 本山小屋11:10 飯豊本山11:25~11:45 本山小屋12:00~12:10 切合小屋13:10~13:40 三国小屋14:30 弥平四郎登山口16:50(途中獅子池に寄る)

 

 

 

朝日

 

古寺登山口6:30 日暮沢分岐7:45 古寺山8:40~9:00 小朝日岳10:10~10:30 古寺登山口13:10