朳差岳避難小屋視察登山と飯豊連峰整備の事情

平成24530日~31

 

AKB総選挙が間近に迫り、皆さん慌ただしい日々が続いておられたことと思います。

私はといえば選挙中間報告の結果に一喜一憂している次第でございました。

 

そしていよいよ決戦の日がやってきました。

私はその日のテレビを見るために会社をちょっと早めに退社させてもらい、家に着くや否やテレビの画面を固唾を飲んで見守っておりました。

 

それにしても選挙の放送を見ているととても疲れます、登山の方がよっぽど疲れない。こんなに疲れるくらいなら次からは見る側ではなく選挙に出る側にまわりたいものです。

 

そして1位までの発表が終わり感動のフィナーレ。岳人の皆さん、貴方にとって選挙の結果はいかがでしたか?

私的にはどうもオタクの人たちの考えが理解できません。感覚としては秋葉原系のメンバーに人気が集まっているようで、私のような正統派美人を押している人にはファンであってもオタクじゃない人が多いので投票に参加する人が少なく、そんなこともあって大変な苦戦を強いられてしまいました。

それぞれ明暗は別れたものと思われますが、いずれにしても結果はどうあれ、私は今後の彼女たちの益々の発展を願っております。

 

それはそうと余談ですが最近私はローラも好きです。

 

ではでは、山の話に入ります。

5月も後半となれば、各地で山開きといった行事が開催され、本格的な登山シーズンの時期に入ります。

去年から立ち上がった飯豊胎内の会も2年目に入り、胎内市が新潟県から借りている門内小屋と頼母木小屋と登山道の足の松尾根は山開きに向けて急速に準備が進められます。

 

それから数年前から要望されていた朳差岳避難小屋の老朽化した外壁の張替え工事が今年実施されることになり、それらのことが私の周囲で活発に動き始めてまいりました。

 

朳差小屋に関しては設計にいくらか私も加わっており、そのまま工事も引き受けることになりました。

飯豊胎内の会に関しては門内小屋と頼母木小屋の管理人業務と足の松登山道の整備といったことを委託されており、会に参加している皆さんで協力して運営をしています。

 

そういえば今年から作家の高桑信一氏が飯豊胎内の会に入会することになり、77日から729日の期間、門内小屋の管理人業務を請け負うことになりました。

大変に有名な作家さんであります、その期間に門内小屋を訪れた方はラッキーでしょう。

私としては7月中に門内小屋の管理人をしたかったのですが高桑さんがやるということで、私は98日~9日に門内小屋管理人として入ることにしました、もし良かったら遊びに来てくださいね。

先日、その飯豊胎内の会で顔合わせ会が開かれ、高桑さんと酒を酌み交わす機会に恵まれました。しかしどうしたら女性にもてるのかとかそんな話ばかりで山の話はちっともしませんでした。

ちなみに女性にもてる方法のアドバイスをした方が私で、受けた方が高桑さんでした。私が勝手に無口な高桑さんに喋っただけなのですが、酔った勢いとは恐ろしいものです。しかし高桑さんが紳士な方で助かりました。

 

話しは戻りまして、山小屋にしろ登山道にしても厳しい気象条件の影響をもろに受けているので、傷みが激しく、関係者による維持管理業務が非常に重要です。

私は朳差小屋を板金職人さんと視察するためにまだ一般開放されていない足の松尾根を登りました。

今年は大雪の影響からなのか登山道上に倒木が例年以上に多く発生しており、登山道の地割れも進んでおり、現況のままでは一般登山者に開放することはとても無理な状態ということがその時に判明しました。

 

外壁板金職人さんと山小屋の寸法等を検測し、修繕方法を検討し一通りの作業を終えるとすっかり夕暮れの時刻となり、小屋の中で修繕計画をねっている板金屋さんは放っといて、私は一人、沈みゆく夕日を眺めておりました。

 

本来は仕事でここに来ているわけですから板金屋さんは当然真面目に仕事をしています。しかし自分でいうのも何ですが私の体たらくぶりと言ったら大変に情けない。遊びできているのか仕事で来ているのかよく分からない状態です。

 

下山時は胎内市に報告するため倒木や登山道の傷んだヶ所の写真を撮りながら帰りました。そして後日、胎内市からの要請で足の松登山道整備工事として倒木の撤去や危険ヶ所にロープを設置するため再び飯豊に登りました。

この時は中条山の会の亀山さんと高橋さんが同行してくれ、作業もしていただきましたが、依頼主である私はといえば、先日の苗場山~佐武流山と朳差岳避難小屋視察登山と連続で山に登っており、疲労困憊状態での登山道整備工事でした。

そんなこともあり重い荷物や機械類は亀山さんと高橋さんが背負ってくれ、作業の方も高橋さんに任せっぱなしでした。

これまた自分で言うのも何ですが、この日も私は何をしに行ったのか分かりませんでした。

 

また少し話がそれてしまいますが、私の疲労蓄積のことを考えると下越山岳会のお年を召された方たちのエネルギーは凄まじい!彼らは自称サンデー毎日(毎日が日曜日)と言い、会社を定年退職された方たちで構成されており、私が聞いているぶんには週に23回くらいの割合で山に登っているような感じがします。彼らの活発な行動は私のような若者よりも遥かに若々しく、下越山岳会を支える屋台骨として活気を与えてくれているように思え、ある意味サンデー毎日は会にとって大きな遺産…、あっ違った!財産であると思います。

 

そんな私の体たらくぶりはどうしようもなく情けない話なのですが、やはりどうしても仕事で山に入るとなるとかなり億劫であり、そもそもあまり楽しくないし、できれば行きたくないです。人にもよるのでしょうけれど、私の場合は趣味と仕事は一緒にできません。

 

工事として考えても会社の利益は見込めることができず、とても山が好きでなければやってられない仕事です。

登山道や山小屋などは普通に暮らしている人々にとっては無用な代物。あくまで趣味の世界。県や市はそんな趣味の世界に血税を使うのなら、ほかにお金が必要なところはいくらでもあるという考えなのだと、いつも予算どり等の打ち合わせをしているとそのように私は感じてしまいます。

これは決して役所の担当がそのような考えというのではなく、県や市の代表の考えがそうであり、また世論的にもそうなのであろうと思います。

正直、朳差岳避難小屋の外壁は予算の関係上一番強度低い物に変更させられてしまい、それでも予算が捻出できずに結局、我々業者が赤字覚悟かギリギリで仕事を請け負わざるを得ない状況になってしまっております。

ただ心配なのは山小屋は気象条件が厳しい立地条件にあるので安価で強度の低い材料を使ったのでは長持ちしないのではないか、非常に気にかかるところであります。

「どうせ修理するなら徹底的にやればいいのにな」と思うのは私だけではなく職人さんも口を揃えてそう言っております。

 

ちょっと愚痴っぽい話になってしまいましたが、新潟県の管理する部分に関してはそのような状況にあり、結局登山とは趣味であり、山を良くしようと思えば行政の力に頼るものではなく、山を愛する皆さんの一人一人の力が重要なのだと私は考えます。

飯豊は北アルプスとは違います。新潟県は長野県のように山大国ではないので行政に頼りすぎてはいけないと思います。

一人一人、責任を持って山に登り、少しでも山を傷つけないよう皆で小さな気配りをすることが大事なのだと飯豊で仕事をしているとそんなことを思ったり考えたりしています。

 

とにもかくにも登山道整備は中条山の会の亀山さんや高橋さんが活躍してくれたお蔭で危険ヶ所にロープが新たに設置され、倒木もすべて撤去されました。

これでいつでも安心して一般登山者を足の松尾根に迎え入れることができます。

 

胎内市役所に委託され、飯豊胎内の会を立ち上げた亀山さんなどは本当に苦労していることがいろいろ会話をしている中で随所に感じられます。

ボランティアで楽しく参加するなどといったそんな次元のことではなく、事を任されるということは責任が生じてしまいます。ある時は苦情を言われ、山に問題が発生したらすぐさま飛んで行き、困ったことがあれば相談係にもなる。

一番面倒なのは人間で、皆さんが気持ちよく管理業務に携われるよう御配慮され、自分の我は何一つ言わず、他の人たちのことを精一杯たてるようにしてくれています。

自分の行きたい山だってあるでしょうに、やりたいことも多くあるでしょうに、自分の身を削って従事されている姿には本当に頭が下がります。

どこの山でもそうなのかもしれませんが、飯豊には亀山さんの他にも尽力をつくしてくれている方が何人か居られるものと察します。そんな方たちが居られるからこそ我々は気持ちよく飯豊に登ることができるということを、どうしても書き加えておきたいと思いました。

そんな大変な御苦労をされている方もいれば、それにひきかえ私は身勝手で、適当にいい加減な気持ちで飯豊の事業に参加している身分であって、とても恥ずかしくも情けなくも感じます。

だからせめてそんな人たちに感謝しながら飯豊を歩きたいなと思っているところでございます。

 

わたしのような愚か者は亀山さんにお願いして爪の垢でもいただいて煎じて飲まなければならないようですね。

いやいや、私が飲む前にサンデー毎日の皆さんに飲んでいただいて、大丈夫なようだったら私が飲むということにすればいいのかもしれません、「今度そうしよう!」。

 

さきほど仕事で飯豊に来ることは億劫で行きたくないと書きましたが、それでも私は飯豊が好きだからそういった気持ちの反面、仕事で飯豊に来られるなんてとても幸せに思う気持ちも大いにあります。

だから仕事で来ているときでも仕事のことなどすっかり忘れて、仕事は職人さんに任せて私は散策に出かけたり、写真を撮りに出かけたりしてしまいます。

そんな私のような何もせず遊び半分で山に登っているような者が偉そうなことはとても言えたものではありませんが、少しでも山の事業に携わった者としてたまにはと思い、こんな登山日記を書かせてもらいました。

 

私自身、仕事としてですが飯豊の山小屋修繕工事等の作業が今後控えております。

それからボランティアでも長い間夢見てきた大日岳の標柱設置、それに門内小屋の管理人。

それらについてこの登山日記で書けるものについては書いていこうかと思います。

 

追記

朳差岳登山についてほとんど書いてなかったので、少し書き加えておきます。

足の松登山道は登山口までの道路開通の目途が立たず、工事ということで特別許可をいただいて車を乗り入れさせていただくことになりましたが、しかし雪のため足の松尾根取付きまで車は入れませんでした。

 

前述したように今年は多雪の影響か、登山道上に倒木が多く発生しており、登山道の地割れヶ所も多く見られました。

稜線に出ると早くもハクサンイチゲが咲き始めており、あの強面の板金職人さんでさえ顔がほころんでおりました。

ただ年々花の個体が減ってきていて昔の写真と比べると明らかに笹薮の割合が増してきているのが分かります。

 

小屋に着いて一通り作業を終え、一息ついていると雨上がりということもあり夕日がとても綺麗に見えました。

 

小屋の修理工事は6月の半ば頃から始まり、約10日~14日程度かかる予定です。

工事期間中の宿泊は可能ですが窮屈な思いをさせたり、一時的に外壁が剥されるので寒い思いをさせてしまうこともあるかもしれません、登山者の皆様には大変に御迷惑をお掛けします。それからもし可能であれば極力他の山小屋宿泊をお勧めします。

工事期間は614日からの予定ですがヘリ運航は天気の都合で変わる可能性もあります。

詳しくは行政機関へお問い合わせください。