ちょっと一休み
道具の話 二回目
ここしばらくの間、正月の飯豊のことで頭の中がいっぱいになっていて、準備に追われることもさることながら、悪いことばかりつい考えてしまい、恥ずかしながら軽いノイローゼのような感じになってしまっているようです。
仕事中でも余計なことを考えてしまい、なかなか作業がはかどらないなど、多方面にわたり影響がおよんでしまっております。
まあ仕事はいいとして、その飯豊の準備にまで苦労している有様の状況で、そしてさらに、この登山日記も新たな文章が思いつかず、なんとか年内にもうひとつくらい書きたいと思っておりましたが、なかなか手につかず、それでもやっと自分なりに頑張って書いてみましたが、まったく良い文章を書くことができませんでした。
そんな今回の登山日記は、今年の最後の日記になることと思いますが、山行紀行文ではなく二回目の道具の話となりました。
いつになく真面目に調べて書いてみましたよ。
先日、久しぶりに下越山岳会の会山行に同行させていただきました。
8月に朝日連峰を担当したので、当然その時も参加しましたが、他の人が担当する会山行に参加させてもらうのは今年の2月の棚橋山~馬ノ髪山~俎倉山以来になります。
今の時期は非常に天候が不安定で気温も寒くなり、休日に山へ行こうと思ってもなかなか体が言うことを聞きません。皆さんもこの時期は布団から出るのが億劫になったりして、ついつい寝過ごしたりしていませんか?しかし会山行に参加の表明をしてしまえば渋々行かざるを得なくなってしまうと思い、正月の飯豊に向けて雪上歩きの足慣らし体慣らし及び道具慣らしとそれらの点検も兼ねて、私も参加させてもらいました。
今回の行先は二王子岳でしたが、私自身は二王子に登るのが目的ではなく、その先の正月の飯豊を見据えての参加でありました。
そんなこともあり、今回は50リッターのザックに出来るだけ余分な物を多く詰め、必要以上に重くして歩きました。しかし思っていた以上にラッセルが上手くできず、休日に怠けてしまっていたことが自分自身で認識できた山行になりました。
もっともっと力強く、軽快にスピーディに、蝶のように舞い蜂のように刺す、あるいは台所で主婦に追い掛け回されているゴキブリのように右に左に動き回り、美しく華麗なラッセルができなければとても正月の飯豊に入ることはできません。
休日に休んでばかりいないで、一生懸命に努力をして体力と筋力をつけなければならないということが確認でき、それが今回の山行の収穫でした。
会山行の参加人数は20人にもおよぶ大所帯で、会の山行とは言えこれほど人が集まる山行もなかなかありません。
私は最近、例会にもまったく顔を出していなかったので、久しぶりに皆さんにお会いすることになると思うと少し緊張気味でおりました。床屋さんに行って身なりをキチンとしてスーツでも着込んで行くつもりでしたが、さすがに寒いのでやめました。
スーツの代わりというわけではありませんが、山頂小屋では防寒着にかすり生地の半纏を着て過ごしました、スポーツ用品店で販売されているような防寒着よりもずっと暖かく、着心地も非常にいいものです。ただ濡れて水分を含むと重くなり、乾きが遅いなど山には不向きな点も多々あります。でも冬の日帰り登山なら最高に重宝するものだと思っています。
道具の話と言っても別に防寒着の話をするつもりではなく、ただ以前から映画「点の記」で俳優さんたちが着ていた服装にあこがれ、あんな格好で山に登れたらきっと素敵だろうと思っており、実はそれの影響もあり山小屋で半纏を着てみたのでした。
できれば下越山岳会のメンバー全員で、あの点の記のような着物を着て、雨具の代わりに蓑を着用して飯豊に登れたら幸せです。
ということで今回は蓑ではなく、現代の雨具について真面目に考えてみました。
私が所有している雨具に関して、夏山用と冬山用あるいは藪山用とか、またはどうでもいいような里山的な山用とかに別けて使っております。
登山用の雨具の素材としては透湿防水素材であるゴアテックスが一般的ですが、里山程度に行くときにゴアテックスはもったいないと思っており、ましてや藪山へ入るときなどはとんでもない話です。
里山用にはスポーツ用品店から3980円程度の雨具を、藪山用にはホームセンターから1980円くらいの雨具を購入して持って行きます。しかし藪山に入るときは1980円の雨具でさえもったいなく感じて、結局雨が降っても雨具は使わずびしょ濡れになりながら歩いてしまうことがほとんどです。
それらの安い雨具の購入時にいつも気が付くことは、最近はどんな雨具でも透湿防水素材が使われているということです。
そこで最近、巷で出回っているいろいろな透湿防水素材について真面目に調べてみました。
ゴアテックス
登山雨具の素材としては一般的に使われている素材で、性能的には他の素材に較べて圧倒的に高機能ですが、値段も圧倒的に高価格です。多孔質素材という、水の粒子よりも小さく、蒸気より大きい孔のあいたフィルムを生地に貼り付けたもので、耐水圧4万5000mm、透湿度1万3500g/㎡となっています。
EntrantGⅡ(エントラントジーツー)
この素材は古くから良く耳にする素材で、特に作業着店でよく見かけるような気がします。
ゴアテックスと同様の多孔質素材で、比較的薄くしなやかな素材ということです。
耐水圧2万mmで透湿度は6000g/㎡です。
OMNITECH(オムニテック)
アウトドア専門アパレルメーカーのコロンビア社オリジナルの素材ということです。
丈夫な布基材に多孔質素材をラミネートしているので、引き裂き強度にすぐれていて、いわゆるアウトドア向きに仕上がっているということです。
耐水圧7000mm、透湿度8324g/㎡。
DRYTEC(ドライテック)
モンベル独自の素材で、雨具のほかに靴でもこの表示を良く見かけます。
ゴアテックスに較べて、小さな孔がより多くあいている素材で軽量、コンパクトになるのが特徴ということです。耐水圧は2万5000mmで透湿度は1万3500g/㎡です。
モンベル社からはもうひとつ、これより少し機能が落ちますが、安価なハイドロブリーズという素材も出ております。
BERGTECH(ベルグテック)
ミズノ社独自の素材ということです。無孔質の素材を使用しており、科学的な分子構造を生かした透質素材ということです。耐水圧は3万mmで透湿度は1万6000g/㎡となっていて、撥水性能も長続きするという特徴があるそうです。
SYMPATEX(シンパテックス)
水蒸気を伝達する性能がある無孔質のポリエステル素材が湿気を外に逃がす素材ということです。耐水圧は2万mm、透湿度は4500g/㎡ということなっています。無孔質素材の特徴としては孔があいてないので風に強いということです。ただこの素材は雨具よりも靴に使用されているケースを良く見るのは私だけでしょうか?
Dermizax(ダーミザクス)
これも無孔質の素材で水蒸気を吸着する性質のあるポリウレタン樹脂が素材ということで、結露にも強いということです。ということはテント等にいいのではないでしょうか?ゴアテックス素材のテントは一般的に普及されておりますが「テントの中で雨が降る」と言われているように、ゴアテックスといえども透湿防水素材のテントは非常に蒸れるものです。
ダーミザクスの耐水圧は2万mm、透湿度5500g/㎡。
これら以外にも、まだまだ非常に多くの透質防水素材が出回っていますが、きりが無いのでこの程度でやめておきます。
ちなみにホームセンター等で見かける安価な雨具の性能は、私が購入した物で耐水圧1万mm、透湿度5000g/㎡となっておりました。
ちょっと余談になりますが、それにしても何故多くの商品名にテックという文字が入っているのでしょうか?テックとは何だろう?また新たなる疑問が生まれてしまいました。
話しはもとに戻りますが、一般的に耐水は1000mmもあれば通常の雨なら十分大丈夫ということですし、台風並みの暴風雨でもせいぜい3000mm程度の耐水圧があればまったく問題なしということです。
耐水圧よりも重要なのは透湿度の方で、いくら高機能とはいえゴアテックスでもかなり蒸れて、登山のような運動をしていると雨にあたらなくても汗で全身濡れてしまいます。
ただ私的主観ですが、やはり他の素材と比較するとゴアテックスの方が少しはましな感じがします。他の素材を着用したときに「ああ、ゴアテックスの方がいくらか快適だ」と実感したことが今まで何度もありました。おそらく私はかなり鈍感なので、そんな私でもゴアテックスの快適さを感じ取ることがでたので間違いないと思いますが…。
ただ、どうしてもゴアテックスは高価すぎて、値段の差ほど快適さの差はないような気がしております。
それからダーミザクスの項で申し上げましたが、ゴアテックスのテントは雨中では中に居るのが嫌になるくらい蒸れるので、ひどいどしゃ降りでない限り、私的にテントは透湿防水素材ではない物の方が快適だという感覚でおります。
結局、雨降りの日は景色が見えなくてキツイ登山道をただ黙々と歩くことになり、高価な雨具を着用しても快適にはならず、雨降りは雨降りでしかない、楽しくない登山になりがちになってしまいます。なかなか難しいことでしょうけれど、可能なら最初から悪天と分かっているのなら出来る限り山には行かないことが一番いいことなのではないかと思います。天気予報が外れてしまった時や天候の急変など不測で悪天に見舞われた場合のための雨具、という使い方がベストのような気がしています。
また少し余談話になりますが、以前ゴアテックスのスパッツが藪やらアイゼンやらにやられて、穴だらけになってきたので、修理しようとICIスポーツに持っていったところ、店員さんはそのスパッツをジッと眺めて「これ本当に修理するんですか?穴を塞いでもまったく意味がありませんよ」と言いながらスパッツの裏側を私に見せながら「ゴアテックスのフィルムが全部剥がれ落ちていて防水がまったくありません」と笑いながら言ってきた。そう言えばスパッツに水が染み込んできてスパッツが重くなり、下にずりおち、もちろん中もびしょびしょになっていながらも私はずっと使用しつづけておりました。
そして結局その時は修理しないで、そのまま今でもそのスパッツは現役で大活躍しております。
さすがに雨具は無理でしょうけど、スパッツ程度なら何でもいいということが判明した瞬間でした。
今度はゴミ袋やスーパーのレジ袋あるいは新聞紙などがスパッツの代用になるものか試してみたいと思っております。
そういえば私は学生の時、スーパーのレジ袋に教科書や筆記具を入れて通学しておりました。あのビニールのレジ袋は立派に学生カバンの代用になってくれていたわけですから、それにくらべればスパッツくらいの代用には十分になるのではないかと思われます。
さてさて、あとはおそらく年明けに正月の飯豊山行の日記を掲載することになると思いますが、皆々様方に素晴らしい御報告ができれば幸いと思っております。
そこで、皆様には初詣に行った際、私の無事と登山の成功と御多幸をお祈りしてきてくださるよう御承知願います。
では最後に、今年の春頃から始めたホームページを読んでくださり、ありがとうございました、心から感謝申し上げます。また来年もどうぞよろしくお願いします。
それでは良いお年を。
追記
クリスマスイブの前日に下越山岳会の忘年会があり、その翌日の要するにクリスマスイブに会員の方々数人と焼峰山に登りました。
その日はこの冬一番の寒気が流れ込んで大荒れの天気予報でしたが、すっかり予報は外れて見事な青空の下、ラッセルに励み、無事に登頂をすることができました。
キラキラとダストが舞い、太陽の日差しに照らされた素晴らしい雪山の情景を見ることができ、思いもかけぬ良い山行となりました。
ただ大変に残念なのは、悪天を予測していたのでカメラは持っていきませんでした。
焼峰山といえども、この時期としての日帰り登頂はなかなか難しいものです、運よく天候に恵まれた結果のことでした。
私はといえば前回の二王子岳で体力不足を感じてから火がつき、一生懸命に筋力作りに励んだその結果、いくらかましなラッセルができるようになってはおりましたが、まだまだ満足に至ることができておりません。
もう日前がないし・・・、うーん困ったもんだ!せめて天気だけでも正月の間、良くなってくれないかなー!
いずれにしても安全第一で頑張って挑戦してきまーす。